2011年 08月 31日
越美南北線を結んで |
かつて国鉄時代、福井⇒越前大野⇒九頭竜湖⇒郡上八幡⇒美濃太田⇒岐阜、そして名古屋へと、
中部地方と北陸を結ぶ最短距離の路線として計画されたのが、越美北線、越美南線です。
残念ながら全線開通は果たせず、現在は岐阜県側は第三セクターの長良川鉄道として、
福井県側はJR西日本の路線としてそれぞれ存続しています。
岐阜県側「北濃」駅と福井県側「九頭竜湖」駅との間は約29キロメートル、
日本全図で見ればわずかの距離に思えて、小学生のころからなぜ全通しないのだろう?
と疑問に思っていました。
そして一昨年の暮に北陸地方を旅行した際、福井からの越美北線、終点の九頭竜湖駅で
下車しました。その時「ああ、この山のすぐ向こうに岐阜県が、北濃駅があるんだ」と思い、
是が非でも一度岐阜県側からこの地を訪ね、そして出来れば両駅の間を行き来して
みたいと強く思うようになりました。
2009年12月30日の九頭竜湖駅です。
この先すぐに九頭竜湖、そして岐阜県。
ネットで検索すると、同じような思いの方も多く、中には路線バス(直通は2002年に廃止)
と徒歩でこの区間を踏破された方もいて、大変勇気づけられました。ブログは⇒こちら
さて、この方のブログを見ても、おそらく冬期は無理、また年齢的にも徒歩の区間は
避けたいところ、と思っていました。また北濃周辺でレンタカーを借りる、そして
なによりもそのために休暇を取って岐阜方面に旅行をすることは限りなく不可能な
ことに思われました。
ところが、先週末、突然草津音楽祭にマイカーで行くことになり(全然方向は違いますが)
草津で一泊した翌27日に軽井沢、八ヶ岳から松本、そして安房トンネルを抜けて奥飛騨温泉へと
ドライブすることになりました。奥飛騨温泉郷の平湯温泉に宿泊し、28日は朝から新穂高
ロープウェー、高山市内を観光し、昼食後、東海北陸自動車道を北へ白川郷へ向かいました。
これだけでもかなりの強行軍ですが、前述のように岐阜方面に再び来るチャンスは
ないのだ、と思うとなおさら越美線のことが気にかかって軽い焦りを覚えるのでした。
さて、白川郷を出発が午後3時30分、白川郷インターから岐阜方面へ引き返し
高鷲インターから北濃駅へ、到着は午後4時20分。山深い奥美濃では日がそろそろ
西に傾き始めています。
駅構内、行き止まりの線路、かつてSLが走った証拠の転車台など大変興味深く
見学をしつつ、この後どうすればよいのかなかなか決心がつきません。
北濃駅駅前、長良川が見えます。
ここで暫く遊んで、カーナビで九頭竜湖へ抜けるルートを検索したところ所要時間が
55分と表示されました。もし順調に行けば5時半にはに福井側へ到着出来る、ここまで
来たのなら行くしかない!と心の中で決めましたが、今回は一人旅ではありません。
今ここを出て茨城に向かっても到着は深夜、家内のOKは期待しにくい状況です。
さあ、帰ろう!と車に乗り込んで「ちょっと、この線路の終点を見に行こう」と言って
強引に出発してしまいました。
北濃駅を出てすぐ峠道に入るのだとばかり思っていたら、ナビは郡上八幡方面の
美濃白鳥を指示します。そして、白鳥西インターで中部縦貫道という自動車道に入りました。
もともと福井と松本を結ぶ目的で作られている中部縦貫道、この区間は油坂峠道路と
呼ばれています。すぐにかなり高い高架となり、大きく蛇行しながら油坂第一~第三までの
3つのトンネルを抜けます。(地図でも蛇行の様子がよく分かります)
越美南線(長良川鉄道)北濃駅⇒越美北線九頭竜湖駅までのルートは⇒こちらです。
片側一車線ながら、高速道路並みの高規格道路でグングン高度を上げて行きます。
そして美濃通洞というトンネルを抜けて福井県へと入ります。
途中ところどころ旧道が見えますが、もしあのような峠道だったら同行者がどのような
反応だったか・・・と思うと冷や汗ものであります。
さてしかし、念願かなってついに九頭竜湖が近づいてまいりました。心の中で快哉を叫びつつ
助手席を見ると、家内はそろそろ寝るか?と思いきや県境標識を見つけて「エ~ッ福井県!!」。
京都府舞鶴市出身の彼女は福井がどこにあるかよくご存知なのでした。
そう、茨城からかなり遠くに来てしまいました。しかし、もう後には引けません。
前進あるのみです。
峠を越えて平坦な道になると、ほどなく左手に九頭竜湖が見え始めました。
横幅はあまり広くありませんが縦に長く、地図で見ると確かに竜のようにも見えます。
周りを深い緑に囲まれて、夕暮れの暗い湖面の色がなんとなく「魔の湖」を思わせます。
何度か停車して湖面の写真を撮りましたが、草深くなかなか上手くいきません。
また、途中何度もスコールのような豪雨にも襲われ、心細い山奥の道でしたが、湖畔の
道路は、入江を橋で通過するように設計されたためかカーブが少なく、快適に
飛ばすことが出来ました。そして最後のカーブを一気に降りると、JR九頭竜湖駅
に到着しました。
一昨年の暮れのことを思い出すと、まるで地球の裏側から再び九頭竜湖駅へやって来た
ような感慨を覚えます(大げさかな?)。しかし、これがロマンというものでしょう。
さて、九頭竜湖駅でカーナビを「自宅に帰る」にセットすると岐阜⇒中央道回りで520㎞。
無言になった家内と一緒に約7時間半の長旅です。途中、渋滞にも巻き込まれて到着は
深夜1時半を過ぎましたが、帰路は宿願を果たした達成感、そしてその心地よい疲労感を
味わいながらつくばへと快走しました。
今回の行程を簡単にアルバムにまとめてみました。⇒こちら
写真を撮るような心の余裕がなかったのも事実です。
北濃駅に到着直後、列車が入線してきたためiPadで慌てて撮影しました。
カバーが写ってしまい、ちょっと見づらいですが雰囲気はお伝えできると思います。
中部地方と北陸を結ぶ最短距離の路線として計画されたのが、越美北線、越美南線です。
残念ながら全線開通は果たせず、現在は岐阜県側は第三セクターの長良川鉄道として、
福井県側はJR西日本の路線としてそれぞれ存続しています。
岐阜県側「北濃」駅と福井県側「九頭竜湖」駅との間は約29キロメートル、
日本全図で見ればわずかの距離に思えて、小学生のころからなぜ全通しないのだろう?
と疑問に思っていました。
そして一昨年の暮に北陸地方を旅行した際、福井からの越美北線、終点の九頭竜湖駅で
下車しました。その時「ああ、この山のすぐ向こうに岐阜県が、北濃駅があるんだ」と思い、
是が非でも一度岐阜県側からこの地を訪ね、そして出来れば両駅の間を行き来して
みたいと強く思うようになりました。
2009年12月30日の九頭竜湖駅です。
この先すぐに九頭竜湖、そして岐阜県。
ネットで検索すると、同じような思いの方も多く、中には路線バス(直通は2002年に廃止)
と徒歩でこの区間を踏破された方もいて、大変勇気づけられました。ブログは⇒こちら
さて、この方のブログを見ても、おそらく冬期は無理、また年齢的にも徒歩の区間は
避けたいところ、と思っていました。また北濃周辺でレンタカーを借りる、そして
なによりもそのために休暇を取って岐阜方面に旅行をすることは限りなく不可能な
ことに思われました。
ところが、先週末、突然草津音楽祭にマイカーで行くことになり(全然方向は違いますが)
草津で一泊した翌27日に軽井沢、八ヶ岳から松本、そして安房トンネルを抜けて奥飛騨温泉へと
ドライブすることになりました。奥飛騨温泉郷の平湯温泉に宿泊し、28日は朝から新穂高
ロープウェー、高山市内を観光し、昼食後、東海北陸自動車道を北へ白川郷へ向かいました。
これだけでもかなりの強行軍ですが、前述のように岐阜方面に再び来るチャンスは
ないのだ、と思うとなおさら越美線のことが気にかかって軽い焦りを覚えるのでした。
さて、白川郷を出発が午後3時30分、白川郷インターから岐阜方面へ引き返し
高鷲インターから北濃駅へ、到着は午後4時20分。山深い奥美濃では日がそろそろ
西に傾き始めています。
駅構内、行き止まりの線路、かつてSLが走った証拠の転車台など大変興味深く
見学をしつつ、この後どうすればよいのかなかなか決心がつきません。
北濃駅駅前、長良川が見えます。
ここで暫く遊んで、カーナビで九頭竜湖へ抜けるルートを検索したところ所要時間が
55分と表示されました。もし順調に行けば5時半にはに福井側へ到着出来る、ここまで
来たのなら行くしかない!と心の中で決めましたが、今回は一人旅ではありません。
今ここを出て茨城に向かっても到着は深夜、家内のOKは期待しにくい状況です。
さあ、帰ろう!と車に乗り込んで「ちょっと、この線路の終点を見に行こう」と言って
強引に出発してしまいました。
北濃駅を出てすぐ峠道に入るのだとばかり思っていたら、ナビは郡上八幡方面の
美濃白鳥を指示します。そして、白鳥西インターで中部縦貫道という自動車道に入りました。
もともと福井と松本を結ぶ目的で作られている中部縦貫道、この区間は油坂峠道路と
呼ばれています。すぐにかなり高い高架となり、大きく蛇行しながら油坂第一~第三までの
3つのトンネルを抜けます。(地図でも蛇行の様子がよく分かります)
越美南線(長良川鉄道)北濃駅⇒越美北線九頭竜湖駅までのルートは⇒こちらです。
片側一車線ながら、高速道路並みの高規格道路でグングン高度を上げて行きます。
そして美濃通洞というトンネルを抜けて福井県へと入ります。
途中ところどころ旧道が見えますが、もしあのような峠道だったら同行者がどのような
反応だったか・・・と思うと冷や汗ものであります。
さてしかし、念願かなってついに九頭竜湖が近づいてまいりました。心の中で快哉を叫びつつ
助手席を見ると、家内はそろそろ寝るか?と思いきや県境標識を見つけて「エ~ッ福井県!!」。
京都府舞鶴市出身の彼女は福井がどこにあるかよくご存知なのでした。
そう、茨城からかなり遠くに来てしまいました。しかし、もう後には引けません。
前進あるのみです。
峠を越えて平坦な道になると、ほどなく左手に九頭竜湖が見え始めました。
横幅はあまり広くありませんが縦に長く、地図で見ると確かに竜のようにも見えます。
周りを深い緑に囲まれて、夕暮れの暗い湖面の色がなんとなく「魔の湖」を思わせます。
何度か停車して湖面の写真を撮りましたが、草深くなかなか上手くいきません。
また、途中何度もスコールのような豪雨にも襲われ、心細い山奥の道でしたが、湖畔の
道路は、入江を橋で通過するように設計されたためかカーブが少なく、快適に
飛ばすことが出来ました。そして最後のカーブを一気に降りると、JR九頭竜湖駅
に到着しました。
一昨年の暮れのことを思い出すと、まるで地球の裏側から再び九頭竜湖駅へやって来た
ような感慨を覚えます(大げさかな?)。しかし、これがロマンというものでしょう。
さて、九頭竜湖駅でカーナビを「自宅に帰る」にセットすると岐阜⇒中央道回りで520㎞。
無言になった家内と一緒に約7時間半の長旅です。途中、渋滞にも巻き込まれて到着は
深夜1時半を過ぎましたが、帰路は宿願を果たした達成感、そしてその心地よい疲労感を
味わいながらつくばへと快走しました。
今回の行程を簡単にアルバムにまとめてみました。⇒こちら
写真を撮るような心の余裕がなかったのも事実です。
北濃駅に到着直後、列車が入線してきたためiPadで慌てて撮影しました。
カバーが写ってしまい、ちょっと見づらいですが雰囲気はお伝えできると思います。
by ludus_tonalis
| 2011-08-31 15:36
| 鉄道・旅